本記事ではTVアニメ「THE ビッグオー」の設定について解説とか考察をしていきます。
ネタバレの配慮などは一切しておりませんのでご注意ください。
またビッグオーという作品自体、製作者が「こう」と確定させていない設定が多いこともご留意ください。
今回は主人公であるロジャー・スミスについて。
確定していること
元軍警察官で、現在はネゴシエイターの25歳の男性。
趣味は砂時計の収集。
Act:14で触れられていますが、孤児であり、
裕福な福祉家の元で教育を受ける機会はあったよう。
また作中唯一の『最初から』のザ・ビッグのドミュナス。
インタビューで確定していることは、
クリエイターであるエンジェルに恋をされたこと。
モデルはヨーゼフ・K。
劇中での活躍
凄腕のネゴシエーターであり、物語も誘拐された令嬢の捜索依頼から始まります。
まぁ双方に誠意が欠けていたので駄目になった依頼でしたが。
そして作劇上交渉に値しない相手が頻繁に出てくるため、
一部ではネゴシエーションの腕前を疑問視されたりビッグオーをすぐ呼ぶとか言われる人。
彼の腕前が一番良く現れたのはAct:05の幽霊騒動の時でしょう。
後に創作世界の命運を背負った交渉を成功させることに。
ビッグオーのドミュナス
先述した通り、作中で唯一の真にドミュナスだったキャラクター。
シュバルツは偶然発見し、その探究心を認められたためドミュナスに。
アランとアレックスは無理やり動かしていただけ。
ロジャー・スミスのみがザ・ビッグとともにあり、神の力を振るうことを許された人物。
なおビッグオー側はエンジェルの命令にも従うようになってるとは思われます。
※Act:20でビッグオーが勝手に動いていた辺り
ただ何故自分がビッグオーとともにあれるかは喪失した模様。
ロジャーの恐れ
ファーストシーズンの途中から触れられ、セカンドシーズンのメインにもなっていたもの。
ロジャー自身もわからない、ロジャー・スミスという存在。
40年前の記憶をなくした街において、過去を知らない人間は不思議ではない。
何でか知らないけど地下が怖いとか、誰も40年よりも前のことを知りたがろうとしないとか。
40歳以上の人間が40年前に記憶喪失になって、それ以前のことを思い出そうとしないのは普通ではある。
しかし25歳の人間が記憶喪失になっていたら少なくとも40年前の何かによる影響ではないはず。
では40年前の何かよりも後に誕生した自分に『自分のメモリーがないのは何故か』
というのがロジャーが抱えていた恐れです。
それを見ないふりをしていたと、Act:14にて向き合うことを決意しています。
ではロジャー・スミスとは何だったのか。
違う
-
違う
-
違う!
ゴードンとの契約
ロジャーは40年前にゴードンと契約しています。
そしてゴードンの項で私の解釈を書きましたが、あれは実際に40年も前の話ではありません。
40年前という回想シーンに置いて、ゴードンが回想シーンのロジャーと契約したものです。
ただ25歳の人間が40年前の回想シーンにいるのは辻褄が合いません。
ではこの時のロジャー・スミスは誰だったのか。
これがエンジェルのやってしまったこと。
ロジャーを特別視してしまったこと。
ロジャーを特別な存在にしてしまったことで、
ロジャーはどのシーンに置いても『元軍警察官で、現在はネゴシエイターの25歳の男性』になってしまったのです。
40年前の復興の時も、その後にゴードンがトマト(メモリーのコピー)を作っているときも。
私は、誰だ?
そしてそれを自覚してしまった時、人はどう思うのか。
40年前だとうろ、数十年前だろうと、25歳である自分。
そんな人間が本当にいるのだろうか。
では自分の持っている記憶は、メモリーとは何なのか。
孤児として育ち、裕福な福祉家の元で教育を受け、軍警察に入り、
パラダイムに嫌気が差して退職し、ネゴシエイターになった。
そう記憶している自分のこれは何なのか。
ひょっとしたらロジャー・スミスとは人間ではないのではなかろうか。
それどころかこの世界に生きる人間すべてが本物ではないのでは。
ともすれば世界そのものが本物ではないのか。
そう感じた時、ロジャーは一つの決断をしました。
記憶を失った街のネゴシエイター
この私は己がどういう存在なのかもわからない。
私には自分自身のメモリーすらないのだ。
だが恐らく私は自分自身の意思でメモリーを消し去ったのだ。
その選択をしたのは私自身だ。
私自身のために。今と、そしてこれからを生きるために。
自分という存在を信じたいがために。
Act:26 最後の交渉よりこの世界が、そして自分が造り物なのかもしれない。
しかしそれでもここにいるロジャー・スミスという存在は確かに生きている。
例え自分がいつの時代でも同じ容姿であったとしても、
今まで自分が積み重ねてきた記憶(メモリー)は自分自身のものだ。
それを奪いかねないこんなメモリーは捨ててしまえばいい。
この世界が造り物であるかもしれないという真実に惑う必要はないのだ。
というわけでロジャーは自分自身のメモリーを捨てましたとさ。
この記憶喪失の街のネゴシエイターであるために。
一緒にビッグオーのドミュナスであるメモリーも捨ててしまいましたけども。
まぁそのメモリーはノーマンが持っていたのでビッグオーに出会うことはできましたが。
で、結局決意して捨てたところで失った不安とはどうしても残っているわけで、
ファーストシーズンの終盤やセカンドシーズンを通してそれに振り回されるわけです。
なんで自分はメモリーがないのだろう。
メモリーがない自分とはなんなのだろう。
40年前にビッグオーに乗って戦って死んだのかもしれない。
ひょっとしたら量産されたロボットなのかもしれない。
または誰かがテレビで見ているヒーローなのかもしれない。
いや、でも自分を必要としてくれる人(最終話のエンジェル)がいる。
その人にとって自分は何なのだ?
そうだった。迷う必要はないのだ。
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私の名前はロジャー・スミス
この記憶を失った街のネゴシエイター