「Sushi soft 」より2021年08月27日発売のサイコセラピーADVゲーム
「素敵な彼女の作り方」の製品版感想記事になります。
本作は女の子同士が仲睦まじく恋人関係になっていく話
ではないです。タイトル画面見ればわかりますね。
サイコセラピーADVのジャンル通り、かなりやばめの作品です。
また感想記事の性質上ネタバレ全開です。
このゲームから得られるものは何もない
さて、ゲームをプレイすることは何かしらの得があるものです。
例えば爽快感を得てストレス発散、
シナリオの良いゲームで感動する、
めっちゃエロいゲームで致す。
エロゲーともすれば3つ目が基本でしょう。
対してこのゲームは何も得られません。
寧ろ得てはいけないゲームです。
このゲームに登場する人物の思考回路は理解できるものではありません。
理解できたなら、精神科へ行くことをオススメする作品。
その中で得るものとすれば、あえて言うなら絵がキレイだなぁぐらい。
ただこれはゲームでなくイラストで得られるモノですね。
主人公:芦屋 菫(すみれ)
物語の視点であり主人公にして異常者。
構ってちゃんをやっていた大学一年生。
公式キャラクター紹介と若干異なりますが、ゲーム内容的には、
過去のトラウマが原因で「先生」による精神カウンセリングを受けている感じです。
ゲームの本筋は彼女による「素敵な彼女の作り方」
では百合ゲーなのかと言われると、ちょい微妙なところ(後述)。
ヒロイン:古賀 なずな
ヒロインであり、すみれによって巻き込まれる被害者。
とはいえ巻き込まれる前から(金銭面以外の)家庭環境は劣悪。
かつてすみれがプレイしていたネトゲのキャラにそっくり。
という設定があるのですが、作品内で語られることが殆どないため
すみれの思考回路を読み解くための『前提知識』といったニュアンス。
なお大学二年生ですみれの先輩に当たる。
作品を彩る美麗グラフィック
このゲーム唯一の問答無用で評価できるところ。
グラフィックは非常に繊細で丁寧。
男向けの肉感全振りではなく、スレンダーで線が細く美しいタイプの絵柄です。
また立ち絵やエッチシーンはLive2D調アニメーションがあります。
非常に多い選択肢と問題点
ゲームの特徴として、選択肢がやたら多いです。
そしてエンディングも8種類あります。
選択肢は主に『先生』からのアドバイスという形で提示されますが、
場合によってはすみれやなずなの行動選択肢になることもあります。
そしてこの選択肢、正解が非常にわかりにくくなっています。
そもそも精神異常者の行動が予測できるわけもないので
ある意味正しいと言えば正しい部分です。
して、選択肢の効果としては恐らく病みポイントっぽいものが貯まっていきます。
で、ある一定区切りで貯まり過ぎていたらバッドエンドといった具合。
私はエンディング4までしか行けませんでした。
※攻略サイトはあるので最後まで到達は可能です。
別種の問題点として、選択肢がわかりにくいのはまだゲーム性として理解できるものの、
それ以外の人物描写もかなり突飛だったり整合性が薄いところがあります。
すみれがなずなに出会ってトラウマを思い出してゲロ吐いたのに
次の瞬間からなずなに惚れているのはまぁギリ大丈夫として、
なずな側も(家庭の事情があるとは言え)かなり高速で仲を進展させます。
この辺りの描写不足はちょっと目に付きます。
一応エロゲー
本ゲームはSTEAMでも発売されており、そちらには公式でR18パッチがあります。
DLsiteで購入した場合は元からR18ゲームとしてダウンロードされます。
故に当然エッチシーン自体はあるのですが、オカズに使えるかは人次第。
というか、エッチシーンが出る=バッドエンドなのですこれ。
バッドエンドの直前に再生されるのがエッチシーンなのです。
こういうゲームのバッドエンドなのだから、その後はわかりますね?
以上が本ゲームの基本的な概要です。
美麗なグラフィックとともに精神異常者の行動を追っていくADVゲーム。
一言で表すならこれです。
そこにちょっとエッチなグラフィックがついてくる形。
なので絵柄が好きならCG集目的で購入するのもあり。
CGだけは裏切りません。
故にここから先は完全ネタバレ空間です。
購入検討中の方はここまででポチることをオススメします。
主人公の過去
なずなはかつてすみれが遊んでいたネトゲのキャラクターにそっくりという設定。
要はMMORPGをプレイしていて、相手のアバターがなずなにそっくりなのですが、こいつはネカマでした。
そのキャラの持ち主とオフ会をしようとしたところ、
ネカマとグルの男達にホテルに連れ込まれ、
犯されて薬まで盛られてリアルに廃人と化す。
これがすみれの精神崩壊の原因です。
つまりすみれ自身は最初から根暗で卑屈で頭がイカれていたわけではなく、
後天的にこうなってしまったという状況。
(元々ネトゲ廃人ではありますけど)
なずなの立場
ではなずなはどうなのか。
大学で不意に出会ってしまった二人。
すみれから見たらトラウマの原因にそっくりな相手で、事件のことを思い出してゲロを吐くほど。
ただこの『思い出してる内容』自体が記憶と乖離している描写があり、
すみれはなずなを好きになります。
これは恐らく『ネカマと判明する前のなずなアバター』との楽しい思い出だけを再生したからです。
最終的には現在のなずなとなずなアバターを混同するようになります。
なずなの設定は
「社交的な性格で顔が広く、様々なイベントに顔を出すことも多い。」となっていますが、
実際は家庭環境に重大な問題を抱えており、ゲーム上深く触れられませんがストレスの塊です。
故に内心は誰かに頼られることを渇望しており、
すみれが精神異常者だとわかっても突き放すことができず、
間違ってるとわかっていてもすみれの存在に依存していきます。
描写が少ないので突飛なのですけどね。
こちらも実際のところは『ギリギリのところで平静を保っていた』異常者であり
あるエンディングではブチ切れてすみれを殺します。
プレイヤーの立ち位置
ではプレイヤーはどの視点に立って物語を見るのか。
女性が主人公の百合ゲーともなればプレイヤーは基本的にゲームに介入しませんが、
本作はすみれが頼りにしている『先生』が存在します。
そしてゲームの選択肢は『先生』がすみれを導くようにできています。
つまりこのゲームのプレイヤーは『先生』となってすみれを導いていくのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
と思っていた時期が私にもありました。
実はこの『先生』が実在するかも怪しい描写があります。
そもそもすみれは『大学に入り浸っている一般人A』であり『大学生ではない』という設定があります。
つまりすみれは自分の境遇を正確に認識できていないのです。
明確に指摘されてないのですが、
『先生』自体もすみれが自己肯定のために用意されているアカウントのようにも取れます。
故にプレイヤー視点というものはなく、
このゲームは最初から最後まで『すみれの異常な思考回路』を見る作品になります。
※なずなの視点になってる場合を除く
到達点
個人的にはこういった『何も得るものがない異常な作品』を
色々放り出してプレイするのは好きです。
そしてブログのネタにも出来ます。
逆に言えば、ブログのネタにしないなら何でプレイするんでしょうねってゲーム。
でも好きなんです。
ゲームのエンディングが8つあると書きましたが、
二人の状況は
両者生存4つ
なずな死亡2つ
すみれ死亡1つ
心中1つ
となっています。
なお生存しているからといって『普通に生きている』とは限りません。
個人的にはこういう作品の成れの果てとして、心中してるのが一番かなと思います。
なずなに一切被害がないのはオナニーしてバッドエンドかな。